設立趣旨
ヒトは進化の過程で、自然環境への合理的な適応能力を獲得してきました。しかし、科学技術の急速な発達とアメニティの追求に伴って、ヒトの生物学的な適応能力が減弱することが懸念されています。加速する人工環境への適応能力を考察するうえで、ヒトが本来有する適応能力の生理学的メカニズムを詳細に解明することが必要です。ヒトの適応能力を全身的協関の観点から捉え(恒常性の維持、多重調節、相互補完作用など)、生活文化との相互関連を探求するところに生理人類学の特色・独創性があります。
生理人類学は、Applied Physiology、 Biological Anthropology、 Human Biologyの分野と多くの共通課題を有しています(生きているヒトの生物学的特性を解明する)。これからの生理人類学は、上記の分野とのリンクを強めて、新しい時代の生理人類学を築き上げ、その成果を国際的にアッピールすることが重要です。
この研究部会の準備段階として、部会の発起人グループによる応用生理学者とのコンタクトが挙げられます。応用生理学分野の方々は、ヒトの全身的な仕組み・適応システム、生活文化の生物学的な背景、「生きているヒトの生理メカニズムは、なぜ、多様で複雑巧緻なのか?」について積極的に研究されています。私どもは1997年以来、神戸において応用生理学セミナーを25回にわたって開催し、国内外の著名な応用生理学者たちとヒトの全身的協関、適応能、その生活文化的意義について議論してきました。本研究部会の発足を機に、本学会のさまざまなジャンルの方々がApplied Physiology、 Biological Anthropology、 Human Biologyの方々と対話することは、生理人類学の発展にとって極めて有意義であると考えます。
会員各位の積極的なご参加と提案をお待ちしています。
事務局
部会長:古賀俊策(神戸芸術工科大学)
s-koga@kobe-du.ac.jp
(@を半角にして下さい)
幹事:井上芳光(大阪国際大学人間科学部)
近藤徳彦(神戸大学発達科学部)
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