一般社団法人化の説明とお願い
令和元年6月13 日
日本生理人類学会 会員の皆様
日本生理人類学会
会長 安河内 朗
本学会の一般社団法人化の説明とお願い
拝啓 初夏の候、会員の皆様には益々ご健勝のことと存じます。日頃から本学会の運営にご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。
このたび、理事会での長年の議論、専門家による説明と質疑応答などを踏まえ理事会にて慎重に審議を重ねた結果、本学会の一般社団法人としての法人化を進めることとなりました。これについては、本年6 月1・2 日に開催されました第79 回大会での評議員会と総会においても説明させて頂いたところです。
ここに改めまして会員の皆さまに法人化についてご説明し、ご意見やコメントを頂くことでよりよい学会を目指したいと考えています。ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
本学会が法人化を進めるにいたった主たる理由について、概要を以下に示します。
1)法律に則った団体となることで社会的信用が得られます。法人化による社会的信用の担保のもとに、さまざまな活動や契約などの行為を行うことができます。本学会では生理人類士の資格認定やPA デザイン賞の授与を行っていますが、これらに対する法人化による社会的信用の担保は重要な意味をもちます。また、万一のトラブル発生時には、法人として法律に則った対応が可能となります。
2)任意団体は「人格なき社団」と呼ばれ、法律行為ができません。このため会長が個人の資格で諸事を実施することになります。しかし法人化されると、「法人」として財産をもち、契約を結ぶ等の法律行為ができ、またそれに基づく権利義務関係を明確化することができます。例えば、学会名で銀行の預金口座を開設することができます。現在、学会は複数の通帳を管理していますが、いずれも学会長の個人名義となっています。会長に万一の事態が発生した場合には、個人口座に伴うトラブルも想定されます。また、会長が交代するたびに口座名義の変更も必要です。しかし、法人化すれば一連の名義は団体名となり法人としての資産の管理が可能になります。
3)学会へ寄付の申し出があった場合、任意団体では会長等の個人が寄付を受けることになり、課税の問題も出てきます。非営利型一般社団法人では、寄付金への課税はありません。
4)国の法人制度が大きく変わり、たとえ規模の小さな学会でも簡単に一般社団法人に移行できるようになりました。このような背景も有り、人類学関連学会では日本民俗学会、日本文化人類学会、領域は異なりますが本学会と同等の規模の学会として日本哺乳類学会、日本魚類学会など多くの学会がすでに法人化しており、今後はその傾向がさらに加速することが予想されています。
一方で、法人化にあたって、これまでの任意団体にはない業務や経費面のデメリットが想定されます。たとえば、税務を履行するにあたって、これまで以上に会計管理の明確化が求められ、それに伴う事務量と経費の増大が予想されます。しかし、会計がより一層透明化することは、会員にとってむしろメリットになります。また、経費については業務委託費の他に、法人格取得の準備費用と登記費用、改選毎(2 年に一度)の理事等役員の登記費用、法人税などがあります。また税申告にともなう税理士への経費発生も想定されます。
しかしながら、これらの経費やランニングコストの増大は、本学会の現在の財務状況から通常の学会運営を損なうほどのものではないことが確認されています。
なお、法人化された場合でも、大会や研究部会への参加、研究発表、論文掲載、などの会員の基本的な権利は変わりません。しかし、学会を運営する執行体制が若干変更され、法人の運営は「社員」によって構成される社員総会が最高の議決機関となります。会員を社員とした場合には、社員総会を成立させるための定足数の確保が困難になるため、一般には、会員から選ばれた代議員を社員とする代議員制が多く採用され、本学会でも、現在の評議員を社員とする代議員制の採用が検討されています。
学会の事務局を委託している国際文献社は法人化の支援業務に多くの実績をもっており、本学会の法人化に向けて手続きの内容やスケジュールについて検討をお願いしています。その内容については、10 月27 日の第80 回年次大会での総会にてご報告する予定です。
以上の通り理事会では、学会創設40 周年を終え、今後は社会的信用を一層高めた学術団体としてさらなる発展を目指したいと考えています。本学会の一般社団法人への移行について、ご意見、コメントがありましたら7月末日までに学会事務局(jspa-post@bunken.co.jp)までご連絡ください。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
敬具