快適性研究部会

設立主旨

 生理人類学は人間工学、労働科学などの研究領域と重なる部分が多くあります。例えば人-作業環境系の最適化をはかる場合に、生体負担、疲労、生産性、効率、使い易さなどが重視されます。しかし、人にかかわるあらゆる対象の望ましいあり方を探るには、このような捉え方だけでは不十分と考えられます。我々人類の歴史は少なくとも440万年、最初のホモ属が出現してから約200万年になりますが、このうち少なくとも最後の1万年以前は狩猟採集の時代であったわけです。我々の身体は、当然この時代の生活環境にうまく適応し、そのまま現代に引き継いできています。現代の文明社会が、人類史のスケールからするとまさに一瞬の出来事であることを考慮すれば、我々が適応してきたこれまでの環境と現在適応しようとする環境との間に大きな歪があり、これが目にみえないストレスとなっているだろうことは理解できます。先に上げた生体負担や疲労の原因は、人類の適応史という時間軸の中でも考慮されるべきもので、軸上の一点である現代だけで評価するのは不十分ということになります。 快適性研究部会が求めようとする快適性とは、まさにこのような視点をもった「人へのやさしさ」であり、これがそのまま生態系や地球環境への優しさにもかかわってくるものと考えています。快適性研究部会では以上のような点を視座において、以下に示すような様々な部会活動を通して部会員相互の意見交換、もしくは共同研究への手がかりを探って参りました。 (文責:安河内) 本研究部会にご興味をお持ちの方は、どうぞお気軽に事務局の私宛のメールまでご連絡下さい。


事務局

部会長:安河内 朗 (九州芸術工科大学) 幹 事:石橋 圭太 (九州芸術工科大学)
事務局:九州芸術工科大学 生理人類学教室
〒815-8540 福岡市南区塩原4-9-1
TEL・FAX 092-553-4530 
e-mail: yasukouc@kyushu-id.ac.jp(安河内)


「快適性研究部会」活動報告

【定例会】
  相談会及び部会員の募集
日時:1992年1月29日 午後1:30-5:00
場所:国際文化会館 快適性研究部会会場(Room D)
第1回定例会 日時:平成4年9月17日午後-18日午前(木-金)
場所:九州芸術工科大学(福岡市南区塩原4-9-1)
岩宮眞一郎氏(九州芸術工科大学)    「快適な、音環境や、歳時記に」
野口謙一氏(車体工業商品企画室 ) 「トラック用シートの快適性評価の検討」
菊地和夫氏(九州芸術工科大学)     「運動時の低酸素環境における快適性について」
辻 嘉和 氏(松下電工 オフィス商環境デザイン室)「疲労回復と気分転換に関する調査」
佐藤方彦氏(九州芸術工科大学)      「快適性の構造について」
田原靖彦氏(清水建設 技術研究所)  「建築空間の快適性を考える」
第2回定例会 日時:平成5年4月15日午後-16日午前(木-金)
場所:九州芸術工科大学 (詳細は次号掲載)
井上鉄三氏(豊田中央研究所 研究7部)「快適下における官能評価の重要性と難しさ」
河地洋子氏(香蘭女子短期大学 被服学科)「衣服のゆとり量と快適性」
小代禎彦氏(東陶機器 商品研究所)  「入浴の快適性」
中川浩之氏(間組 技術研究所)     「建築空間の快適性と環境制御技術」
福留公利氏(九州芸術工科大学)    「音響情報処理システムとのヒューマンインターフェースにおける快適性」
安河内朗氏(九州芸術工科大学)      「快適な上肢作業をめざして」
第3回定例会
(以下シンポジウムの一部をもって定例会を兼ねる)

「アメニティのデザイン国際シンポジウム’93」
主 催:九州芸術工科大学
日 時:平成5年10月5日(火)-9日(土) 
場 所:九州芸術工科大学 多次元デザイン実験棟、他1会場
「視る、聞く、におう、感じる五感と日常生活環境のアメニティ1,2」
 W.Laurig氏(ドルトムント大学労働生理)
I.Matzdorff氏(キール大学生理人類学)
H.W.Jurgens氏(ドイツ,キール大学人間工学)及び一般口演
第4回定例会 日 時 94年1月11日(火) 10:00-17:00
場 所 文化女子大 A館6階、A-60
宮崎良文 氏(農水省森林総合研究所)  「樹木の快適性」
藤井英二郎 氏(千葉大学園芸学部)    「緑地の快適性」
栃原 裕 氏(国立公衆衛生院)      「温熱と快適性」
菊池吉晃 氏(東京医科歯科大学神経疾患)「脳と快適性」
本橋 豊 氏(東京医科歯科大学医学部)  「生体リズムと快適性」
第5回定例会 日 時 94年10月14日(金) 10:00-17:00
場 所 実践女子学園 第3館 大会議室
綿貫 茂喜 氏(大阪市立大学生活科学部) 「快適ガードルの開発」
森田 健 氏(積水ハウス総合住宅研究所)「光と健康  快適性との関連から」
橋本 修左 氏(清水建設技術研究所)    「高速エレベータの聴器等への生理心理的影響」
鹿嶋 進 氏(オメガウェーブ)         「快適性評価のための微小循環血流測定」
第6回定例会
(若手中心)
日 時 95年 1月20日(金) 10:30-16:30
場 所 実践女子学園 桜同窓会館2F
柴田 哲史 氏(千葉大学人間工学教室D2)          「メンタルワークロードと個人差」
小島 隆矢 氏(東京大学建築学専攻D1)            「環境の主観的評価における個人差」
河原 雅典 氏(九州芸術工科大学生理人類学教室D2)「色彩と生理反応」
第7回定例会 日 時 95年 4月21日(金) 13:00-17:00
場 所 大阪市立大学文化交流センターのホール(大阪駅前第3ビル16F)
山田 冨美雄 先生(大阪府立看護大学)    「実験計画法 – t 検定から-」
永村 一雄 先生(大阪市立大学)        「申告値まわりの取扱い」
第8回定例会
(若手中心)
日 時 95年 7月26日(水) 10:30-17:00
場 所 実践女子学園 桜同窓会館2F
李 傳房氏(千葉大学人間工学教室D3)「温熱負荷が局所筋作業中の生理反応および疲労感に及ぼす影響」
樋口重和氏(九州芸術工科大学生理人類学教室D2)「外部環境と覚醒水準について」
中嶋 一志先生(QCコンサルタント)    「ゆらぎ音と快適性」
第9回定例会 テーマ:ストレスと快適性
日 時 95年 9月20日(水) 10:30-17:00
場 所 文化女子大学 A60教室
谷田正弘((株)資生堂研究開発本部製品研究所)「唾液中コルチゾールとストレス」
須藤綾子先生(労働省産業医学総合研究所)   「ストレスのカテコールアミン評価について」
長田泰公先生(元国立公衆衛生院)       「ストレスと快適性」
第10回定例会 テーマ:「快適性研究とその応用を巡って」
日 時 96年 1月26日(金) 午後 1:00-5:00
場 所 実践女子学園 桜同窓会館2F
宮崎 良文 先生(農水省森林総合研究所)        「快適性研究の最近の動向」
鈴木 一重 先生(社 人間生活工学研究センター専務理事)「人間生活工学におけるISOの動向」
渡邉 政嘉 先生(通産省生活産業局企画調査班長)    「人にやさしいモノづくりをめざして」
第11回定例会 テーマ:快適性の評価とその応用について
日 時:96年 6月21日(金) 13:00-17:00               
場 所 文化女子大学 A館6F A-60教室(裏面地図参照)
菊池 吉晃 先生(東京医科歯科大学難治疾患研究所聴覚機能)「脳機能から認知科学へ」 
犬飼 幸男 先生(通産省工技院生命工学工業技術研究所)「通産省の大プロの現状と今後について」
第12回定例会
(以下のシンポジウムで定例会を兼ねる)
第2回日本生理人類学会・人間環境学会(MERA)ジョイントシンポジウム
テーマ:「人工環境の快適性」
日 時:1996年10月4日(金)13:00-17:00
場 所:東京大学工学部建築学科15号教室
宇治川 正人(竹中工務店:人間環境学会)      「地下空間における快適性」
山口 孝夫(宇宙開発事業団:人間環境学会)    「宇宙ステーションにおける快適性」
栃原 裕(国立公衆衛生院:日本生理人類学会)   「温熱・寒冷環境下の快適性と安全性)
山田 冨美雄(大阪看護大学:日本生理人類学会)  「オフィス空間の快適性」
第13回定例会 テーマ:総括及び今後の取り組みについて
日 時:96年 12月20日(金) 13:30-17:30               
場 所 文化女子大学 A館7F A-70会議室
安河内 朗 (九州芸術工科大学生理人類学教室)        
「部会総括」及び「話題提供:快適性評価の客観的取り組みと測定法の検討」
総合討論:今後の部会活動の方針
第14回定例会 テーマ:快適性のさらなる定義をもとめて(1)
日 時:97年 3月14日(金) 13:00-17:00               
場 所 文化女子大学 A館6F A-60会議室
塩原礼次郎 (元日本海難防止協会)「『快適性』概念検討の参考事項としての現代社会の状況」
樋口重和(九州芸術工科大学 生理人類学教室 D3) 「CNVを用いた覚醒水準評価法に関する新たな提案-過剰でなく余分な覚醒水準の評価について」
第15回定例会 テーマ:快適性のさらなる定義をもとめて(2)
日 時:97年 5月23日(金) 13:00-17:00               
場 所 清水建設株式会社 技術研究所 プレゼンテーションルーム
高木史人(清水建設株式会社技術本部・技術開発センター)「地球環境問題の本質と社会の動き」「地球環境保全への私の取り組み」
田原靖彦(清水建設株式会社 技術本部・技術開発センター)「地球環境問題が快適環境とどう関 わるか?」
岩淵 輝(大東文化大学非常勤)     「脳の調和的情報処理  –その認知過程について–」
第16回定例会 テーマ:快適性のさらなる定義を求めて(3)
日時:1997年7月17日 午後1時-5時
場所:国際文化会館 会議室
肝付邦憲先生(千葉工業大学工業経営学科)      「快適生活願望と環境問題」
向江秀之先生(豊田中央研究所機械2部人間工学研究室)「豊田中研における快適性研究へのアプローチ – 感情の誘発と生理反応から-  」
第17回定例会 テーマ:快適性のさらなる定義を求めて(その4)
日時:1997年10月23日 午後1時-5時
場所:国立公衆衛生院 3F第3会議室
小早川 達 先生(生命工学技術研究所人間情報部心理情報研究室)「ヒトの味嗅覚に関連する脳内応答の非侵襲計測」
小泉 英明 先生(日立製作所中央研究所)   「非侵襲高次脳機能計測の現状と将来」
第18回定例会 テーマ:快適性のさらなる定義を求めて(その5)
日時:1997年12月12日 午後1時-5時
場所:国立公衆衛生院 2F第1会議室(207)
石橋 圭太 先生(九州芸術工科大学生理人類学教室)  「複合環境における快適性評価の試み」
塚田 秀夫 先生(浜松ホトニクス株式会社中央研究所)「生体機能研究におけるポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)の有用性」
第19回定例会 テーマ:快適性のさらなる定義を求めて(その6)
日時:1998年 3月 6日(金) 午後1時-5時
場所:国立公衆衛生院
岩切一幸先生(九州芸術工科大学生理人類学教室)「照明光のスペクトル分布と覚醒水準の関係」
綾部早穂先生(日本学術振興会特別研究員・筑波大学心理学研究科) 「未定:嗅覚と快適性に関連するテーマ」
第20回定例会
(日本生理人類学会第39回大会、98.6.6)
タイトル:脳機能測定と生理人類学 
日時:1998年6月 5日14:15-16:30
場所:アルカディア市ヶ谷
司会:宮崎 良文
演者:                
安河内朗(九州芸術工科大学)    「脳機能測定の生理人類学的意義」
小泉英明(日立中央研究所)         「fMRIと光トポグラフィ」
塚田秀夫(浜松ホトニクス中央研究所)「PETで何をどこまで計れるか」
樋口重和(秋田大学)        「随伴性陰性変動(CNV)を用いた覚醒水準の評価方法」
菊池吉晃(東京都立保健科学大学)  「脳波・脳磁界から「認知」を観る」
指定討論者:鳥居 鎮夫 (東邦大学名誉教授)
第21回定例会 内容:これまで20回にわたる定例会を通して快適性の概念を再考し、新たな視点を交えて総括します。 それとともに私たちの実生活を支える製品や空間の具体的な評価法について、人の生理反応を中心 にご紹介します。総合討論では、製品開発や評価法について、あるいは企業との共同研究等の可能性 について積極的な意見交換ができればと考えています。
テーマ:快適性研究の新たな視点と課題
日時:2000年8月24日(木)午後3時?5時
場所:全林野会館  
安河内朗(九州芸術工科大学生理人類学教室) 「快適性の新たな概念と評価法について」
総合討論
第22回定例会 内容:前回は快適性の概念と具体的な生理的評価法について皆さんと議論しました。今回は、まず照明の快
適性研究の概要と生理人類学的視点で高く評価されPAデザイン賞を受賞した照明器具を紹介します。その
後、寝室の照明を想定した実際的な評価例と、そこから提案される商品企画、製品化についてご紹介致しま
す。快適な睡眠環境設定の難しさは、入眠前、夜間排尿のための中途覚醒時、及び朝の起床時といったそれ
ぞれの行為ごとに生体の照明に対する要求が異なる点にあります。今回は、若年者と高齢者の生理・心理評
価を中心として各行為において新しく提案された照明条件をご紹介します。
また総合討論では、快適性の評価やその応用について日頃悩んでいることなどをフランクに議論し、あるいは
企業との共同研究等の可能性についても積極的な意見交換ができればと考えています。
テーマ:照明の快適性研究
日時:2001年7月31日(火)午後2時~5時
場所:国際文化会館 会議室
安河内朗(九州芸術工科大学)「照明の快適性研究の現状とPAデザイン賞の例」
野口公喜(松下電工㈱中央照明EC)「快適な睡眠・覚醒のための照明環境整備に関する提案」    
総合討論       
第23回定例会
テーマ
感性と快適性、及びPAデザインへの展開
内 容
前回は、照明の快適性研究の現状と生理人類学的視点で高く評価されPAデザイン賞を受賞した照明器具を紹介しました。今回は感性をテーマにします。快適性研究部会として感性をどのように捉えるか、その感性が快適性とどのような関係性をもつのか、食行動を例にそのメカニズムをご紹介し、議論していきたいと思います。また、個人の感性が色濃く反映される衣服の着装について、感性と快適性をキーワードとしてご紹介 し、演者が関連したPAデザイン賞受賞製品についてご紹介します。 総合討論では、快適性の評価やその応用について日頃悩んでいることなどをフランクに議論し、あるいは企業との共同研究等の可能性についても積極的な意見交換ができればと考えています。
日 時
2001年11月30日(金)13時30~17時
場 所
国際文化会館 会議室
東京都港区六本木 5-11-16  電話:03-3470-4611
「感性と快適性-食行動を例に-」
安河内 朗 (九州芸術工科大学 生理人類学教室)
14 :45-15:45   「衣服・感性・PAデザイン」
                    綿貫 茂喜  (九州芸術工科大学 生理人類学教室)
16:00-17:00    総合討論

【セミナー】
第12回セミナー 「感覚と快適性」 総合司会 佐藤方彦先生(九州芸術工科大学)
日時 1992年 6月18日(木)、19日(金)
会場 中野サンプラザ 6F 研修室6
第一日目
斎藤 進 (労働省産業医学総合研究所) 「視覚と快適性」
大橋 力 (文部省放送教育開発センター)    「音と快適性」
菊池 安行(千葉大学工学部)         「聴覚と快適性」
第二日目
中島 利誠(お茶の水女子大学)         「皮膚感覚と快適性」
坂本 和義(電気通信大学電子情報学科) 「複合感覚と快適性」
鳥居 鎮夫(東邦大学名誉教授)         「五感と快適性」
第16回セミナー 「快適性の科学」 総合司会 佐藤方彦先生(九州芸術工科大学)
日 時:平成5年 5月27(木),28日(金) 10:00-17:00
場 所:中野サンプラザ 6F 研修室6
第一日目
安河内 朗(九州芸術工科大学)     「快適なWorkplace Design」
宮崎 良文(農水省森林総合研究所)   「樹木と快適性」
川島 美勝(横浜国立大学工学部)     「人間-生活環境系をシステムとして考える」  
第二日目
増山 英太郎(東京都立大学人文学部) 「快適性と官能検査」
高橋 鷹志 (東京大学工学部建築学科) 「快適性の準科学」
佐藤 方彦 (九州芸術工科大学 )   「快適性の構造」

第20回セミナー 「快適性をつくる」 総合司会 飯塚幸子先生(実践女子大学)
日時 1994年 6月 2日(木)、3日(金)午前10時00分-午後5時00分
会場 中野サンプラザ 8F、集会室 1
第一日目
  安河内朗(九州芸術工科大学)     「快適なオフィス環境」
  山田冨美雄(大阪府立看護大学)     「快適性創造のための生理心理学」
  武者利光(東京理科大学/脳機能研究所)「快適さと便利さ」
第二日目
  宮崎良文(農水省森林総合研究所)      「”自然”由来の快適性」
  高岡正敏(埼玉県衛生研究所)          「住環境とダニ害」
  佐藤方彦(九州芸術工科大学)          「快適性の条件」
第28回セミナー 「快適商品の開発ソフト – 生理人類学的アプローチから-」
主催:日本生理人類学会快適性研究部会
日時:1997年 11月 20日(木)-21日(金)
会場: 中野サンプラザ 8F、研修室1
第一日目
安河内朗(九州芸術工科大学生理人類学教室)「快適性の概念とその評価ソフト」
宮崎良文(農水省森林総合研究所生物活性物質研究室)「快適な自然環境要素の応用ソフト」
第二日目
綿貫茂喜(九州芸術工科大学生理人類学教室)「快適なウェアの開発ソフト」
橋本修左(清水建設株式会社技術研究所)  「快適な空間の造成ソフト」
鳥居鎮夫(東邦大学名誉教授)       「快適な寝具の開発ソフト」


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Fax 03-5227-8631

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